ドイツの黒ビール

ドイツビールの種類・歴史・文化をご紹介

投稿日:2019年6月20日 更新日:

ドイツビールの種類
ドイツってビール大国と言われているけど、何故ワインではなくビールなの?どんなスタイルのビールがあるの?ドイツの黒ビールって?教えて下さい。

近代日本が、ビール造りのお手本としたのがドイルのビールスタイルです。

では、なぜそんなにもドイツでビールが愛されるようになったのでしょうか。

こちらでは下記ポイントを踏まえて、『ドイツビール』について解説していきたいと思います。

・ドイツビールの世界。ビールスタイルも色々
・ドイツ北部のビールとは
・ドイツ南部のビールとは

ドイツビールとは

ドイツビールの歴史・文化

ビール=ドイツ
こんなイメージが直ぐ想像できるぐらい、この国のビールは有名であります。

日本でも、ビール造りの手本としたのがドイツの醸造方法。

大手ビール会社の殆どが、早世期にドイツのマイスター技術を見本とし、今現在のビール市場を作り上げてきました。

ドイツビールの歴史・文化

アフリカから伝来してきたビール造りは、地中海沿岸の国々では根付きませんでした。

その理由は、良質な麦が育たなかったからです。その為、葡萄が栽培されワインが主流となった訳です。

ドイツの場合は、土地柄良質な麦とホップが栽培出来たため、ビール造りは一気に広まって行ったと考えられます。

また、ドイツと言えば厳格な規制の下(ビール純粋令)、ビール醸造が行われてきた土地柄でもあり、地方都市によって独特なビール文化が生まれた場所でもあります。

そして、何と言っても世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」が有名!

まさに、ビール好きには堪らない天国のような祭典が開催される国でもあります。

個人的にも、ドイツビールによって濃色ビールの魅力に惹かれたもので、特にデュンケル(=ダーク)に対しては思い入れがあります。

そんな歴史と高度な醸造技術が詰まったドイツビール。
地域によっても様々なスタイルのビールが誕生しています。

ドイツビールの種類

ドイツビールは2つの地域に分けられる

ラガー大国であり、ラガーの生みの親でもあるドイツ。

そして、ドイツ人のビール消費量は世界一!
更に、醸造所の数も世界一(世界の約40%を占めます)!

まさに『地ビールの王国』に相応しい、伝統と文化に育まれたビール大国です。

そんなドイツには、大きく分けると約12の古典的なビールスタイルがあり、そこから更に多くのジャンルが枝葉の様に分かれています。

ドイツビールは地域でも分類される

個性的なビールは、地方の小さな醸造所で造られている場合が多く、何処へ行ってもその土地と文化に育まれたビールを楽しむ事が出来ます。

さて、そんなドイツビール。スタイルでもそうなのですが、地域によっても分類する事が出来ます。

それは、南部のバイエルン地方北部のハンブルク地方の二つの地域です。

北部ハンブルク地方のドイツビール

北部は、ドルトムントに代表される工業都市や、デュッセルドルフ。少し西よりのケルンなども含まれます。

この北部地域は、ドイツの中でも醸造量や醸造所の数が最も多く、まさにドイツを代表するビール地域です。

しかし、土地柄(プロテスタントが多い地域)でしょうか、世界的にも有名な醸造所があるにも関わらず、「ビール文化」がそれほど知られていません。

余り活動的ではなく、どちらかと言うと「静かにまったりとビールを味わいたい!」という人々が多い地域だからでしょうか・・・。

その為、開放的なイメージでもあるビアガーデンの類は余り存在しません

北部のドイツビール:ドルトムンダー

ドイツビール:ドルトムンダー

日本でもJリーグ発足後、サッカーの人気が高まり、今や世界のサッカーリーグへと人々の関心が集まっています。

そんな中、日本人選手も次々と海外へ進出し、様々なクラブチームの存在を知る事となります。

そして、ドイツのドルトムントという都市も、当時、香川選手の移籍によって知れ渡る事となりました。

しかし、それ以前にこの都市の存在を知っていた方はどれ位いたのでしょうか?

サッカーファンならまだしも、一般の方でドルトムントを知る人は余り見掛けません。

その理由は、工業都市であり観光客が足を踏み入れない地域でもあるからです。

ただ、この都市は列記とした「欧州一のビール生産拠点(世界の1/4の生産量)」なのです!

また、その歴史も古く1200年代からビール醸造の中心地でもありました。

大きなビール・ユニオン(組合)を組織化していたドルトムント

DUB(ドルトムンダー・ユニオン・ブラウライ)

ノルトラインヴェストファーレン州の北部に位置するドルトムントには、かつて数十を超える醸造所がありました。

しかし、幾度もの合併を繰り返して2つのビール会社に統合される事となったのです。

その一つが、1844年に創業した『DUB(ドルトムンダー・ユニオン・ブラウライ)』です。

元々ユニオンは、100年以上前から名称として使われており、10余りの醸造所が合併した事から名付けられました。

因みに、ユニオン傘下の工場の屋根には、大きな『Uの字』の電光掲示板があり、夜になると町中を照らしています。

もう一つのビール会社は、1873年に設立された『DAB(ドルトムンダー・アクツィエン・ブラウライ)』。

ドルトムンダー・ハンザ社やドルトムンダー・クローネン社などを吸収合併し、全国規模のビール会社へと成長していきます。

こちらで醸造されるビールは、麦芽の味わいが色濃く、非常に軽い飲み口が特徴的で、スーパーなどに卸され、世界的に広く流通しています。

更に吸収合併が・・・
90年代には、これら2つの会社を併せて個人経営の醸造所が数社存在していました。

しかし、2005年にDABがDUBを吸収合併し、ドルトムントには、とうとう一つのビール会社しか存在しなくなってしまったのです。

因みに、幾つかのブランドは残され、その味わいは継承され続けているようです。

しかし、以前の様に各醸造所が『ドルトムンダー・エキスポート(輸出用)』を醸造し、世界中に広がりを見せていた頃とは、様相が違っているようです。

現に、日本でも一部の取り扱い店にしかお目に掛かる事が出来なくなってきました・・・。

ビールスタイル:ドルトムンダーとは

ドルトムンダーというビールスタイルは、日本人にとっては余り聴き慣れないタイプのビールではないでしょうか。

しかし、実は日本のビール会社が『ラガービール』として販売しているビールは、ドルトムンダーをお手本にしているのです

その為、初めて飲む人でも抵抗感無く美味しく感じられるビールとなっています。

特徴としては、ピルスナーよりブロンズ色が強く、きめ細かな泡立ちとピリッとした辛口のドライ感が特徴的。

まさに、日本人好みの飲み応えのあるスタイルとなっています!

ドルトムントでも、ビールの醸造歴史において長く上面発酵(エール)ビールを造り続けていましたが、1843年にこの地域で一番古い醸造所「ドルトムンダー・クローネン」によって、下面発酵(ラガー)ビールが造られました。

その後ユニオンに引き継がれ、名実共に認められるラガービールが開発され、ドイツ全土へと広がって行ったのです。

北部のドイツビール:ボックビール

ドイツビール:アインベックのボックビール

ドイツで最も高いエキス濃度とアルコール度数を誇るのが、このボックビールです。

因みに、アルコール度数は6%~7%以上。エキス濃度が16度~18度以上です。

名前の由来は諸説あるようですが、地名からそう呼ばれるようになったというのが一つの説です。

ボックビールは、ドイツ北部ニーダ・ザクセン州にあるアインベックが発祥の地であり、この地で醸造されたビールを略して「ベックビール」と呼んでいたようです。

その後、ドイツ南部に広がりバイエルン地方の訛りと相まって、「ボックビール」となったのが一般的な解釈です。

因みに、ボックとはドイツ語で「山羊」を意味し、ラベルにも描かれています。

これは、山羊座にあたる月に仕込まれていた『季節ビール』だった、という意味もあるようです。

また、この頃(醸造初期)醸造されていたボックビールは、小麦を使った上面発酵(エール)ビールが主流でした。

しかし、ドイツ南部への広がりと技術革新により、ボックビールは大麦を原料とした下面発酵で造られるようになり、「ドイツのラガービール=ボックビール」と認識されるようになりました。

ボックビールがドイツ全土に広まった理由

そもそも何故アインベックでは、そんなにもエキス濃度が高いストロングビールを醸造していたのでしょうか。

その理由は、「全国に流通させる為」です。

アインベックでは、その当時修道院や宮廷でのみ許されていたビール醸造を、市民にもその権利を与え、そこへ課税を行い歳入を得ようと考えたのです。

まさに、この『特区』によりアインベックは世界初の商業醸造都市となったのです。

そうなると、必然と商売は外へ向く訳ですから、ドイツ全土へビールを配給する事となります。

その為、長時間の運搬でも品質を落とさないよう、濃度の高いビールを醸造する必要がありました

それが、ボックビール誕生の理由です。

そんなボックビールは、3つのスタイルに分類されます。

メイボック(マイボック):ホフブロイハウスのメイボック

オクトーバーフェスト:ホーフボロイハウス

ドイツで最も有名な醸造所である『ホフブロイハウス』。
その創業は、なんと1602年!

元々は、バイエルン王室が運営を行っていたビアホールが併設された醸造所で、今現在はバイエルン州で管理運営が行われています。

ホフブロイハウスでは、多くのボックビールが造られてきました。
中でも有名なのが、『メイボック(マイボック)』です。

ホフブロイハウスで醸造されるボックビールにとって一番重要な『季節』が、5月です

そして、毎年メーデーにはその年のメイボック(マイボック)が盛大にお披露目されます。

メイボック(マイボック)の特徴は、何と言っても色!
琥珀色を更に深くしたような赤褐色。淡色系が多いボックの中では珍しいと言えます。

また、麦芽の香りとアロマ香がバランス良くブレンドされ、7%以上のアルコール度数から生み出される「苦み」と「ドライ感」は、コクのある味わいに更にインパクトを与えています。

ダブルボック(ドッペルボック)

ドイツのストロングビールと呼ばれるボックビール。
そんなボックを更に「ストロング」にしたのが、『ダブルボック(ドッペルボック)』です。

ダブルという事で、ボックの2倍強烈になったのか?と解釈されそうですが、ただ単にボックビールより「強い」という意味合いだそうです

さて、このダブルボック(ドッペルボック)。実は、ある修道士によって生み出されたビールでした。

それが、パウラナー修道院のセント・フランシスコ修道士です。

フランシスコ修道士は、復活祭(イースター)の準備期間である「四旬節(40日間)」に耐えられるビール醸造に着手し、濃度の高いボックビールを完成させました。

パウラナー・サルバドール

それが、ダブルボックの元祖と言われる『サルバドール/salvator(救世主)』です。

アルコール度数は7.5%以上でエキス濃度も18%以上と非常に強め。
明るめの琥珀色をしたビールで、コクと苦みが際立ったドライ感が特徴的です。

また、このビールの名は、彼が運営するパウラナー・サルバドール醸造所から名付けられています。

醸造開始は、なんと1634年!
更に、冷蔵施設を一早く取り入れた革新的な醸造所でもありました。

因みに、この醸造所で確立したダブルボックのスタイルは、他の醸造所で造られる場合、敬意を持って語尾に「ator(ァトール)」が付けられます。

ホフブロイハウスで提供されているダブルボックは、『デリカトール』。シュパーテン醸造所では、『オプティマトール』というダブルボックを醸造しています。

アイスボック

ドイツ中南部に位置するフランケン地方にあるクルムバッハという街。
こちらでは、最も高濃度のボックビールが造られています。

それが『アイスボック』です。

このボックビールが誕生したのは、非常に偶発的な要因が理由でした。

ある寒い冬の夜、ビール樽を外に出しっぱなしで忘れてしまい、ビールが凍結してしまったのがアイスボック誕生の経緯です。

ご存じの様に、アルコールは水よりも氷点が低いので、先に水分が凍ってしまい濃度の高いアルコール分だけが残ります

これが、アルコール度数の高い濃厚なビールを生み出す仕組みとなった訳です。

今現在では、水分だけを凍らせて取り除く作業を約2週間、何回も繰り返して行われています

北部のドイツビール:ベルリーナ・ヴァイセ

ベルリーナ・ヴァイセ:ベルリン

「北のシャンパン」、「ビールのシャンパン」と呼ばれているのが、このベルリーナ・ヴァイセです。

ドイツ北部、ベルリンを中心とした地域で飲まれている小麦ビールで、アルコール度数(約3%ほど)が低く、非常に爽やかな味わいが特徴的です。

まさしく「水の代わりにビール」ではなく、「ジュースの代わりにベルリーナ・ヴァイセを!」といった独特なビールです。

その為、ビールと認識して初めて飲むと「不味い!」と思わず言ってしまう程・・・。

しかし、そもそもベルリーナ・ヴァイセとは、そう言ったジュースの様なビールなのです。

ベルリーナ・ヴァイセの特徴とは

ヴァイセ=白』。
いわゆる白ビールと呼ばれるスタイルですが、実際のベルリーナ・ヴァイセは、どちらかと言うと「何となく白っぽい」と言った感じの色あいです。

しかし、このビールの個性が解るのは、その見た目にあります。

脚付の独特なグラス(広口のボール型のグラス)に注がれ、何とストローが付いてくるのです!

更に、その色にも特徴があります。
通常のヴァイセの他、緑やピンクといった一見ビールでは考えられない色が付いているのです。

これは、ベルリーナ・ヴァイセ特有の「香味付け」にあります。

ラズベリーシロップなどの甘味料や、クルマバ草のエキスなどが加味され、あのカクテルの様な色合いとなるのです。

さて、このベルリーナ・ヴァイセ。その歴史は意外と古く、16世紀頃まで遡ります。

そして、主原料である小麦の割合は、ミュンヘンのヴァイツェンよりも多い60%程が使われ、あの爽やかな柑橘系の香りは更に強調されています。

また、そんな風味にプラスされているのが『酸味』です!

ベルリーナ・ヴァイセの最大の特徴でもあるこの酸味は、通常のビールの醸造では考えられない『乳酸菌』が使われています。

この乳酸菌と共生している上面発酵酵母を用いて熟成させる事により、ベルリーナ・ヴァイセのスタイルとも言える『酸味』が生み出されるのです。

北部のドイツビール:ケルシュ

ケルン大聖堂

ドイツ4番目の大都市『ケルン』。
ドイツの西部に位置するノルトライン=ヴェストファーレン州にあり、ライン川両岸に広がる重工業都市です。

そして、カトリック教会のケルン大司教の拠点でもある『ケルン大聖堂』は、世界的にも有名です。

そんなケルンには、小規模なマイクロブルワリーが数多く点在し、地方特有の淡色系の上面発酵ビール『ケルシュ』が醸造され愛飲されています。

実は、この「ケルシュ」という名称。国際法的(ケルシュ協定)にも保護されたスタイルで、ケルン市内の醸造所で造られたビールにしか名乗る事が許されていません。

その為、他の地域や国で醸造されているケルシュは、『ケルシュ風』というスタイルに分類されます。

更にこの規定には、注がれるグラスにもルールが適用されています

ケルシュを飲む時には、『シュタンゲ(Stange=棒)』という円柱形の細長いグラスに注がれなければなりません。

ケルッシュの特徴とは

ケルシュのグラス『シュタンゲ』

ピルスナーの様な淡い黄金色。アルコール度数は約5%程で、非常に繊細で飲み易い上面発酵ビール(エールビール)です。

上面発酵酵母で醸造されているビールですが、10℃以下(下面発酵酵母の熟成温度)の冷たい条件下で熟成されており、エールビールの芳香でフルーティーな香りと、ラガービールの爽やかな苦みとキレが融合した味わいが特徴です。

因みに、使用されている地元の水『オウ・デ・コロン(ケルンの水)』は、非常に柔らかくビールの苦みと香りを更に引き立てる役目を担っています。

ケルン市内では、24の認可された醸造所があります。
その中には、主原料の20%ほどを小麦麦芽で醸造されたビールもあり、ワインの様な果実風味豊な香りと、モクモクとしたクリーミーな泡立ちを楽しむ事が出来ます。

また、苦みを効かせたケルッシュや、ソフトな味わいを特徴としたケルッシュなど。

更に、無濾過のヴィスというケルシュなど、それぞれ醸造所によって違った個性を持ったケルシュが造られていますが、共通する点が一つあります。

それは、ケルッシュの提供方法です!

ケルシュのグラス『シュタンゲ』をクランツで運ぶ

クランツ=花冠』と呼ばれる円形のお盆にケルシュは運ばれ、グラスが空になると新しいケルシュが自動的に置かれます。

要するに「わんこ蕎麦」の様なシステムです。

飲んだ数はコースターにチェックされ、これが伝票替わりとなります。

また、「もう打ち止め!」と思ったら、グラスの上にコースターを乗せれば終了です

北部のドイツビール:アルトビール

アルトビール:デュッセルドルフ

アルトとは『古い・昔から』を意味し、バイエルンで淡色系の下面発酵ビールが誕生する遥か前より、伝統的な醸造方法で造られているエールビールです。

因みに、バイエルンでラガーが誕生した頃、下面発酵ビールは『ノイ・ビール(=新しいビール)』と呼ばれていたそうです。

アルトを固有名詞として用いている場合は、ドイツ北部のデュッセルドルフ周辺で造られている上面発酵ビールを指します。

そんなアルトビール。当時の焙燥技術では、淡色系の麦芽を造り出す事が出来なかったので、殆どは赤銅色の色合いをしていました。

そして、今現在ではアルトビールと言えば、その赤味掛かった「琥珀色」が代名詞となっています。

アルトビールの特徴とは

良質と言われるアルトビールは、エキス濃度が約12度ほど。
アルコール度数は4.7%ほどで、アロマの添加方法によりほど良い苦みと微かに感じられる果実香が特徴的です

また、イギリスやベルギーなどのエールビールとは印象が違い、低温熟成で醸造された滑らかで澄んだ味わいは、まさに『ドイツ風のエールビール』と言えるでしょう。

そんなアルトビールが誕生したデュッセルドルフの旧市街(アルトシュタット)と言えば、今や高級ショッピング街でも知られ、多くの飲食店も連なる一大エリアとなっています。

そんな旧市街には、古くからアルトビールを醸造するブルーパブ(醸造所兼居酒屋)が4軒(2010年に新たに1軒加わりました)存在します。

・フォルディナンド・シューマッハ
・ツム・シュルッセル
・フェックスヒュン
・ツム・ユーリゲ
・クルツァー

どの醸造所も、旧市街の雰囲気に溶け込むお洒落な佇まいが特徴的です。

また、それぞれ独自のアルトビールを醸造しており、麦芽風味を強調したアルトや、酸味を少し感じさせる麦芽香を特徴としたアルトなど、オリジナルティに溢れた新鮮なビールを提供しています。

中でも人気なのが、ツム・ユーリゲ醸造所が手掛けるアルト。

ツム・ユーリゲ アルトビール

最も苦みがあり酸味と甘みのバランスが絶妙で、飲み応えのあるアルトビールとなっています。

*ツム・ユーリゲのアルトビールは、日本でも購入する事が出来ます。

南部バイエルン地方のドイツビール

カトリック教徒が多い南部は、北部と違って対外的です。

夏場になると村祭りが各所で行われ、ビアガーデンは大いに盛り上がりを見せます。

特に、ミュンヘンがあるバイエルン地方には、世界最大のビール祭り『オクトーバーフェスト』が開催され、世界中から観光客が訪れ、自ずと世間に知れ渡る事となりました。

では、早速ドイツ南部の代表的なビールをご紹介していきたいと思います。

南部のドイツビール:ミュンヘナー

ドイツビール:ミュンヘン

バイエルン州の州都でもあるミュンヘン。
世界でも有数の醸造所があるこの街は、名実共にビール王国でもあります。

そして、その名を世界に知らしめたのが『ラガービール(下面発酵)』の存在でした。

この低温で長期間熟成させる醸造方法は、1420年代から行われていたようで、19世紀の技術革新により一気にラガービールは広がりを見せます。

そして、それまでドイツにおけるビール醸造の中心でもあった北ドイツから、南に位置するバイエルン王国がビール大国の名誉を奪取した瞬間でもあったのです。

因みに、ミュンヘンには大小合わせて10の醸造所があり、その内の6社が、あの世界最大のビール祭りでもある『オクトーバフェスト』で、特別醸造のオクトーバフェスト・ビールを提供する事が許されています。

さて、そもそもミュンヘナーとは一体どんなジャンルのビールなのでしょうか?

どうもこのジャンルには、幾つかのビールスタイルがあるようです・・・。

デュンケル(ダークビール)

ミュンヘナー・デュンケル

一般的には、黒褐色の濃色ビールのラガータイプを指します。

ドイツでは、一般的にダークビールを『デュンケル』と呼び、「バイエルンスタイル」として分類されることもあります。

このデュンケル。
実は、ミュンヘンスタイルが誕生する前から存在していました。

その理由は、19世紀に入るまでビールに用いられる麦芽は黒く焙燥されたものばかりだったからです。

その為、この時代に醸造されていたビールは濃色ビールが主流であり、淡色系のビールは存在していませんでした。

そう、ドイツではデュンケルがラガービールの元祖であり、ここから様々なスタイルのビールが派生していったのです。

ミュンヘナーもその一つで、更に赤みが加わり薄くなった色合いが、今現在のミュンヘナー・デュンケルの形でもあります。

へレス(ヘル)

ミュンヘナー・へレス(ヘル)

ミュンヘンに住んでいる人にとって、「とりあえずビール!」と言えば、このへレス(ヘル)を指します。

19世紀の後半に醸造技術の更なる進化によって、淡色の麦芽を焙燥する事に成功
そして、このへレス(ヘル)が誕生したのです。

へレスとは、まさしく「色が明るい」という意味があり、ミュンヘナーは・・・。

『デュンケル』→『ミュンヘナー・デュンケル』→『へレス(ヘル)』

といった、「色の変化の歴史」を持ち合わせたスタイルでもあります。

よく間違えらる『ピルスナー』との違いは、麦芽エキスが低くホップの苦みが抑えられ、麦芽の香りが際立った味わいが特徴だと言う事です。

そう!とにかく非常に飲み易いビールが、『へレス(ヘル)』なのです。

メルツェンビール

メルツェンビール
Image by jacqueline macou from Pixabay

メルツェン=3月」。
まさしく、3月頃に仕込まれるラガービールをこのように称します。

ミュンヘナーに含まれるのかは定かではありませんが、ミュンヘン市内の醸造所で仕込まれるラガービール(下面発酵)であり、あのオクトーバーフェストの特別醸造として提供されるビールが、このメルツェンビールなので、当サイトではこちらで記載させて頂きます。

さて、この3月仕込みのビール。なぜ、特別視されるのか?

それは、世界で唯一のビールの法律でもある『ビール純粋令』に関係してきます。

詳細は割愛させて頂きますが、この法律では4月23日~9月29日の間、ビールの醸造を禁じていたのです

多分、冷蔵施設の無い当時は、低温発酵を行うラガービールの品質を著しく損なってしまう恐れがあり、醸造を禁止していたようです。

その為、醸造シーズンの最後に造られた3月仕込みのビールは、長期保存出来るようにアルコール度数が高めで、抗菌作用のあるホップを多く使用し造られていました

また、貯蔵中に2次発酵が行われ、バランスの取れたラガービールに仕上がるのです。

夏の終わりに貯蔵庫に残っていたこのメルツェンビールは、当時のミュンヘンの人々にとっては、さぞかし特別な存在であったに違いありません。

更に、丁度オクトーバーフェストの開催の時期と重なるので、別名『オクトーバーフェスト・ビア』とも呼ばれています。

公式ブルワリーである6つの醸造所は、それぞれ拘りのメルツェンビールをこの祭典でお披露目するのです。

南部のドイツビール:ラヲホビール

ラヲホビール:バンベルグ

バイエルン州のフランコニア地方にあるバンベルグ。

赤い屋根と石畳、そしてバロック様式の美しい街並みは、観光地としても有名な街です。
*旧市街地は、ユネスコの世界文化遺産に指定されています。

そんなバンベルグの街で生まれたのが、『ラオホビール(バンベルガー・ラオホビール)』。

英語で「スモークドビア」と言われるこのビールは、通常、麦芽を焙燥する事により香りと色味をビールに付け加えますが、その麦芽をブナの木で燻して造られた『燻製麦芽』を用いて醸造されたのが、この下面発酵ビール(ラガービール)です。

その為、非常にスモーキーで独特な香ばしさが楽しめ、濃いブラウン系の色味が特徴的なビールです。

ラオホビールはブナの木で燻製される

その歴史も非常に古く、16世紀頃にはラオホビールは造られていました。

では、その起源はと言うと?
意外にも偶発的な出来事から生まれたようです・・・。

当時は、ビール醸造は修道院が行っており、バンベルグの修道院では制麦所も併設されている所が多かったようです

すると、そのとある修道院で火事が起こり、貯蔵していた大麦が火事の煙によって燻されてしまいました。

本来なら、これらの大麦は破棄されるのでしょうが、バンベルグの人は『節約主義(ケチ?)』が多い土地柄のようで、そんな大麦でも「勿体ない!」と言う事で、ビール醸造に使ったようなのです。

それが、今現在まで受け継がれているラオホビールの原点だと言われています。

代表的なラヲホビール

そんなラオホビールで最も有名なのが、『シュレンケルラ・ラオホビール』。

ヘラー醸造所(1678年創業)が、同名のパブ「シュレンケルラ」の為に造ったビールでもあります。
シュレンケルラ・ラオホビール・メルツェン


ここで醸造されているメルツェンタイプのラオホビールは、濃い琥珀色をした非常にスモーク感が強調されたビールとなっています。

また、苦みと甘味がハッキリと感じられ、ボディの効いた独特な味わいが特徴的です。

更に、12月頃に醸造されるボックタイプの『シュレンケルラ・ウルボック』は、更に香ばしさとボディ感が強調された、後味をじっくり堪能出来る「通好み」のラオホとなっています。

因みに、管理人が個人的にガツンっとやられたのが、『シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン』です。

ラオホのスモーキーさとヴァイツェンの柑橘系の香りと甘さが、絶妙な塩梅でブレンドされた逸品であります。

是非、ご賞味あれ!

南部のドイツビール:ヴァイツェン(小麦ビール)

バイエル地方の上面発酵ビール(エールビール)と言えば、このヴァイツェンです。

地元では『ヴァイス(白)・ビア』の相性で親しまれていますが、普段我々が親しんで飲んでいるビールとはまったくの別物です。

人によっては、好き嫌いがはっきり分かれるのではないでしょうか。

その理由は、柑橘系の香りと酸味、そして甘さにあります。
また、ビール特有の苦みは余り感じられません。

そして、何と言っても濁りのある見た目!
淡色系のビールとは、味も香りも見た目も別物だからです。

ヴァイツェンは原料から違う!

ヴァイツェン:原料は小麦

更に、使われている原料からも違いが解ります。

通常のビールは、大麦が主原料となりますが、このヴァイツェンは主原料の半分は「小麦」で造られています

また、ヴァイツェン特有のバナナの様な香りは、酵母の働きによるものです。

ヴァイツェンにとって酵母の選択は要!
そのビールの特徴を決める大事な原料となるからです。

因みに、バイエルンの人々とって濁っていない(生きた酵母が入っていない)ヴァイツェンは、「ヴァイツェンでは無い!」とされています。

その為、ビールのラベルには『Hefe(ヘーフェ)=酵母』と記載されている事が多いです。

世界最古のビール醸造所が造るヴァイツェン

世界最古のビール醸造所
Image by lapping from Pixabay

ミュンヘンの北東に位置するフライジングという町には、世界最古の醸造所があります。

それが、『Weihenstephan(ヴァイエンシュテファン)』です!

名前の由来は、醸造所のある丘陵地帯から来ているとされていますが、元々は725年に、ベネディクト会の修道士「聖コルビニアン」によって設立された修道院です。

そして、768年にはホップの栽培を始め、1040年頃にはビール醸造を行い巡礼者に振舞われたと文献にも記載されています。

この列記とした証拠により、『世界最古の醸造所』と認知されているようです。

実は、このヴァイエンシュテファン。ミュンヘン工科大学の醸造学科が併設されている事でも有名な醸造所であり、醸造研究の専門分野の中でも非常に権威のある機関とされています。『世界の酵母バンク』とも呼ばれているようです。

そんなヴァイエンシュテファン醸造所の代表的なビールと言えば、豊富な柑橘系の甘い香りとスパイシーな味わいが特徴の『ヴァイエンシュテファナー・ヘーフェ・ヴァイスビア』です。

ヴァイエンステファン ヘフヴァイス


このヴァイツェンの特徴は、何と言ってもその飲み易さにあります。

ホップの苦みが抑えられ、フルーティーな芳香が強調された味わいは、ビールが苦手な方でも楽しんで飲んで頂けます。

ドイツビール。特にラガータイプのビールは、日本人にとっても馴染み易い、言わば「日本のビールの原点」と言えるではないでしょうか。また、ラヲホビールなど偶然の賜物で誕生した変わり種のビールも誕生し、ビールの歴史の深さも相まって独特な『ビール文化』が生まれた国でもあります。

『ドイツビールの種類・歴史・文化をご紹介』は以上となります。

-ドイツの黒ビール
-, , , , ,

執筆者:

関連記事

モンヒスホーフ・シュヴァルツビール【ドイツのお勧め黒ビール(濃色ビール)】

モンヒスホーフ・シュヴァルツビール【ドイツのお勧め黒ビール(濃色ビール)】

モンヒスホーフ・シュヴァルツビール ドイツはバイエルン北部にあるクルムバッハ。 この地では、14世紀頃からビール醸造が行われており、主にダークビールとストロングビールで知られています。 また、一人当た …

シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン(ドイツビール)の評価・レビュー

シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン【ドイツのお勧め黒ビール(濃色ビール)】

シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン ラオホビア(英語でスモークドビア)は、名前の通り麦芽をスモーク(燻す)することにより、芳ばしい香りをメルツェンビールに付け加えたドイツビールです。 原料には大 …