ビールの基礎知識

ビール純粋令とは・ビールの品質を変えた法律

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ビール純粋令とは
ビール純粋令って、ビールの為の法律でしょう?何の為に制定されたの?。教えて下さい。

ドイツで生まれたこの法律。

確かに、なぜ「ビール」の為だけにこんな法律を作ったのか・・・疑問です。

さて、こちらでは下記ポイントを踏まえて、『ビール純粋令』に関して解説していきたいと思います。

・なぜビール純粋令は誕生したのか?
・ビール純粋令に基づいたビールしかビールではないのか!?

ビールの法律:ビール純粋令とは

1516年4月23日。
ドイツのバイエルン(当時バイエルン公国)では、ヴィルヘルム4世(在位1508年~1550年)により、この条令がインゴルシュタットの領邦議会で制定されました。

そして、この「ビール純粋令」が『世界で最初の食品に対しての法律』ともなったのです・・・。

粗悪なビールの排除と小麦の確保の為造られた法律

ビール純粋令:小麦の確保

ビール純粋令とは、本来ビールというのは『大麦、水、ホップ』だけで造らなければならないというもので、醸造用の砂糖や添加物、副原料といったものはビールの品質を考える上で、不必要なものだとされてきました。

また、当時のビールにはラベンダーや月桂樹、ネズ、レモンなどの香辛料や果物などが使われ、中にはイヌサフランなどの毒性のあるものまでが含まれていたようです

それにこの当時、現在のように食料が安定して供給されていたわけでもないので、パン造りにとっては無くてはならない小麦の確保が重要課題だったようです。

その為、食料としては使われない大麦をこの条令に加えたのです。

ビールに関する法律は更に昔から存在した

「粗悪なビールの排除」という概念は、ドイツの国では更に昔から求められていたようです。

現に、ドイツではビール純粋令よりも遥か昔から、似たような法律が存在していました。

バイエルン州南西部にある「アウクスブルク」では、1165年にビールに関する罰則が存在しました。

低品質のビールを提供した醸造所に関しては、罰金が処せられるというものです。

また、1487年には既に、ビール純粋令の3原則である「水・大麦・ホップ」以外の原料を使ってはいけないと、ミュンヘンの醸造所に発令していたようです。

バイエルン地方のビールの品質向上の為

ビール純粋令:バイエルン

この法律が制定されたもう一つの理由に、ビールの質を高める!という課題がありました。

当時、北ドイツからバイエルン地方へ評判の良いビール(アインビック、ドルトムントなどの地方)が数多く輸入されていたので、自身のビールをより良いものにすることが必要だったのです。

また、味を誤魔化す為、高アルコール度数のビールが醸造されており、健康面での被害も問題化していたようです。

そして、ここが大きなポイントではないでしょうか。
それは、醸造業からの税の歳入を得る!という狙いです。

ビール純粋令に加わったもう一つの条件

ビール純粋令:酵母
Image by Thor Deichmann from Pixabay

1551年には、3つの主原料にもう一つ「酵母」が加えられ、『大麦、水、ホップ、酵母』がビール純粋令の原則となりました。

その後、1906年にはドイツ全土でこの条令が適用されるようになったのです。

しかし、ここで疑問が。
酵母に関しては、1800年代に入ってからその存在が知られる様になりました。

1674年にオランダの科学者「アントニ・ファン・レーウェンフック」によって、微生物の存在が発表され、その後「ルイ・パスツール」によって、酵母は微生物でありその酵母の働きによって発酵作用が起ると発見されました。

では、なぜ300年も前に「酵母」の存在が知られていたのでしょうか?

実は、酵母の存在自体は古代メソポタミア文明の頃から知られていたのです。

モニュマン・ブルーと言う、当時の生活様式が楔形文字によって刻まれた粘土板には、酵母によってビールが醸造されていた事も記されています。

ただ、酵母が微生物であると解るのは、それから遥か後の話となります・・・。

ビール純粋令が軋轢にも

しかし、この法律は他の国からの輸入ビールや、他の国への輸出ビールに対しての軋轢となりました。

その理由は、この法律が「シンプルながら厳格」であると言う点です。

副原料を一切認めないビール純粋令は、他の国が醸造するビールを必然的に排除するという働きを持ったからです

その為、1987年にヨーロッパ各国の公式集会によって、規制緩和の措置が採られることになったのです。

しかし、バイエルン地方では、輸出されるビールに対しては、この純粋令を適用し続けました。

これらの理由も一つの条件となって、南ドイツのビールが北ドイツのビールを上回る品質の良さを保ち、今日バイエルン州のミュンヘンは「ビールの本場」と呼ばれるようになったのです。

ビール純粋令に基づいたビールしかビールではないのか!?

ビール純粋令のビールが一番なのか?
Image by Mabel Amber, still incognito… from Pixabay

混ざりっ気のない原料で忠実に造られたビール。

ビール純粋令で造られるビールは、まさにこう言ったビールを指すのでしょう。

シンプルだからこそ、水、大麦、ホップ、酵母それぞれの原料にこだわり、醸造方法にも厳格な技術が求められています。

しかし、このビール純粋令はあくまでもドイツ国内の法律に過ぎず、世界中で飲まれているビールには関係の無い話です。

現に、日本国内で消費されるドイツビールは、どれ位の量になるのでしょうか?

殆どが国産のビールで賄われている筈です。

ましてや、アメリカやイギリス、ベルギーなどでは、その国々の独特な文化に沿ったこだわりのビールが溢れかえっています。

わざわざ海外のビール(ドイツのビール)を飲む事など、あまりない筈。

逆に、「我が国のビールが世界で一番!」と自負している事でしょう。

個人的な結論としては、その国(国民)の食文化や風土、文化に合ったビール造りが行われてきており、そんなビールがその人にとって一番のビールなのだと思います。また、国単位でもそうですが個人レベルでも好みは分かれてくるでしょう。それだけ、多種多様なビールが存在しニーズに沿ったビールがあるという事です。やはり、日本食には「取りあえず生!」で提供されている、キンキンに冷えたラガービールが一番よく合います。あくまでも個人的な見解ですが。

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