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ドイツビールの代表的な黒ビール・濃色ビールをご紹介

ドイツビール


ドイツのビール

ビール=ドイツ。
こんなイメージが直ぐ想像できるぐらい、この国のビールは有名であります。

日本でも、ビール造りの手本としたのがドイツの醸造方法であり、大手ビール会社の殆どが早世期にドイツのマイスター技術を見本とし、今現在のビール市場を作り上げてきました。

またドイツと言えば、厳格な規制の下(ビール純粋令)ビール醸造が行われてきた土地柄であり、地方都市によって独特なビール文化が生まれた場所でもあります。

そして、何と言っても世界最大のビール祭り「オクトーバーフェスト」が有名!
まさに、ビール好きには堪らない天国のような祭典!

個人的にも、ドイツビールによって濃色ビールの魅力に惹かれたもので、デュンケル(=ダーク)に対しては思い入れがあります。

そんな歴史と高度な醸造技術が詰まったドイツビールを、ジャンルに分けでご紹介して参ります。


ドイツビールの世界

ドイツビールは2つの地域に分けられる

ラガー大国であり、ラガーの生みの親でもあるドイツ。
そして、ドイツ人のビール消費量は世界一!更に、醸造所の数も世界一(世界の約40%を占めます)!

まさに『地ビールの王国』に相応しい、伝統と文化に育まれたビールの国です。

そんなドイツには、大きく分けると約12の古典的なビールスタイルがあり、そこから更に多くのジャンルが枝葉の様に分かれています。

また、個性的なビールは地方の小さな醸造所で造られている場合が多く、何処へ行ってもその土地と文化に育まれたビールを楽しむ事が出来ます。

さて、『ドイツビール』はスタイルでもそうなのですが、地域によっても分類する事が出来ます。
それは、南部のバイエルン地方と北部のハンブルク地方の二つの地域です。

北部は、ドルトムントに代表される工業都市や、デュッセルドルフ。少し西よりのケルンなども含まれます。
この北部地域は、ドイツの中でも醸造量や醸造所の数が最も多く、まさにドイツを代表するビール地域です。

しかし、土地柄(プロテスタントが多い地域)でしょうか、世界的にも有名な醸造所があるにも関わらず、「ビール文化」がそれほど知られていません。

余り活動的ではなく、どちらかと言うと「静かにまったりとビールを味わいたい!」という人々が多い地域だからでしょうか・・・。

その為、開放的なイメージでもあるビアガーデンの類は余り存在しません。

カトリック教徒が多い南部はその逆で、夏場になると村祭りが各所で行われ、ビアガーデンは大いに盛り上がりを見せます。

特に、ミュンヘンがあるバイエルン地方には、世界最大のビール祭り『オクトーバーフェスト』が開催され、世界中から観光客が訪れ、自ずと世間に知れ渡る事となりました。


| 下面発酵(ラガータイプ)

| 上面発酵(エールタイプ)

ミュンヘナー(ミュンヘンスタイル)

バイエルン州の州都でもあるミュンヘン。
世界でも有数の醸造所があるこの街は、名実共にビール王国でもあります。

そして、その名を世界に知らしめたのが『ラガービール(下面発酵)』の存在でした。


ドイツビール:ミュンヘン

この低温で長期間熟成させる醸造方法は、1420年代から行われていたようで、19世紀の技術革新により一気にラガービールは広がりを見せます。

そして、ドイツにおけるビール醸造の中心でもあった北ドイツから、南に位置するバイエルン王国がビール大国の名誉を奪取した瞬間でもありました。
» ドイツビール/ラガービールの誕生

因みに、ミュンヘンには大小合わせて10の醸造所があり、その内の6社が、あの世界最大のビール祭りでもある『オクトーバフェスト』で、特別醸造のオクトーバフェスト・ビールを提供する事が許されています。
» オクトーバーフェスト:世界最大のビール祭り

さて、そもそもミュンヘナーとは一体どんなジャンルのビールなのでしょうか?
どうもこのジャンルには、幾つかのビールスタイルがあるようです・・・。


| ミュンヘナーの世界



| デュンケル

一般的には、黒褐色の濃色ビールのラガータイプを指します。

ドイツでは一般的に『デュンケル(ダーク)』と呼ばれており、「バイエルンスタイル」として分類されることもあります。

このデュンケル。実は、ミュンヘンスタイルが誕生する前から存在していました。
その理由は、19世紀に入るまでビールに用いられる麦芽は黒く焙燥されたものばかりだったからです。

その為、この時代に醸造されていたビールは濃色ビールが主流であり、淡色系のビールは存在していませんでした。

そう、ドイツではデュンケルがラガービールの元祖であり、ここから様々なスタイルのビールが派生していったのです。

ミュンヘナーもその一つで、更に赤みが加わり薄くなった色合いが、今現在のミュンヘナー・デュンケルの形でもあります。


ミュンヘナー・デュンケル

| へレス(ヘル)

ミュンヘンに住んでいる人にとって、「とりあえずビール!」と言えば、このへレス(ヘル)を指します。

19世紀の後半に醸造技術の更なる進化によって、淡色の麦芽を焙燥する事に成功。そして、このへレス(ヘル)が誕生したのです。


ミュンヘナー・へレス(ヘル)

へレスとは、まさしく「色が明るい」という意味があり、ミュンヘナーは、『デュンケル』→『ミュンヘナー・デュンケル』→『へレス(ヘル)』といった、「色の変化の歴史」を持ち合わせたスタイルでもあります。

よく間違えらる『ピルスナー』との違いは、麦芽エキスが低くホップの苦みが抑えられ、麦芽の香りが際立った味わいが特徴だと言う事です。

そう!とにかく非常に飲み易いビールが、『へレス(ヘル)』なのです。


| メルツェンビール

「メルツェン=3月」。まさしく3月頃に仕込まれるラガービールを、そう称します。

ミュンヘナーに含まれるのかは定かではありませんが、ミュンヘン市内の醸造所で仕込まれるラガービール(下面発酵)であり、あのオクトーバーフェストの特別醸造として提供されるビールがこのメルツェンビールなので、当サイトではこちらで記載させて頂きます。

さて、この3月仕込みのビール。なぜ、特別視されるのか?
それは、世界で唯一のビールの法律でもある『ビール純粋令』に関係してきます。

詳細は割愛させて頂きますが、この法律では4月23日~9月29日の間、ビールの醸造を禁じていたのです。

多分、冷蔵施設の無い当時は、低温発酵を行うラガービールの品質を著しく損なってしまう恐れがあったからではないでしょうか。

その為、醸造シーズンの最後に造られた3月仕込みのビールは、長期保存出来るようにアルコール度数が高めで、抗菌作用のあるホップを多く使用し造られていました。
また、貯蔵中に2次発酵が行われ、バランスの取れたラガービールに仕上がるのです。

夏の終わりに貯蔵庫に残っていたこのメルツェンビールは、当時のミュンヘンの人々にとっては、さぞかし特別な存在であったに違いありません。

更に、丁度オクトーバーフェストの開催の時期と重なるので、別名『オクトーバーフェスト・ビア』とも呼ばれています。

公式ブルワリーである6つの醸造所は、それぞれ拘りのメルツェンビールをこの祭典でお披露目するのです。

ドルトムンダー

日本でもJリーグ発足後、サッカーの人気が高まり、今や世界のサッカーリーグへと人々の関心が集まっています。
そんな中、日本人選手も次々と海外へ進出し、様々なクラブチームの存在を知る事となります。

そして、ドイツのドルトムントという都市も、香川選手の移籍によって知れ渡る事となりました。

しかし、それ以前にこの都市の存在を知っていた方はどれ位いたのでしょうか?
サッカーファンならまだしも、一般の方でドルトムントを知る人は余り見掛けません。

その理由は、工業都市であり観光客が足を踏み入れない地域でもあるからです。

ただ、この都市は列記とした「欧州一のビール生産拠点(世界の1/4の生産量)」なのです!
また、その歴史も古く1200年代からビール醸造の中心地でもありました。


ドイツビール:ドルトムンダー

ノルトラインヴェストファーレン州の北部に位置するドルトムントには、かつて数十を超える醸造所がありました。
しかし、幾度もの合併を繰り返して2つのビール会社に統合される事となったのです。

その一つが、1844年に創業した『DUB(ドルトムンダー・ユニオン・ブラウライ)』です。

元々ユニオンは、100年以上前から名称として使われており、10余りの醸造所が合併した事から名付けられました。

因みに、ユニオン傘下の工場の屋根には、大きな『Uの字』の電光掲示板があり、夜になると町中を照らしています。


DUB(ドルトムンダー・ユニオン・ブラウライ)

もう一つのビール会社は、1873年に設立された『DAB(ドルトムンダー・アクツィエン・ブラウライ)』。

ドルトムンダー・ハンザ社やドルトムンダー・クローネン社などを吸収合併し、全国規模のビール会社へと成長していきます。

こちらで醸造されるビールは、麦芽の味わいが色濃く、非常に軽い飲み口が特徴的。
スーパーなどに卸され、世界的に広く流通しているビールを醸造しています。


更に吸収合併が・・・

90年代には、これら2つの会社を併せて個人経営の醸造所が数社存在していました。
しかし、2005年にDABがDUBを吸収合併し、ドルトムントには、とうとう一つのビール会社しか存在しなくなってしまったのです。

因みに、幾つかのブランドは残され、その味わいは継承され続けているようですが、以前の様に、各醸造所が『ドルトムンダー・エキスポート(輸出用)』を醸造し、世界中に広がりを見せていた頃とは、様相が違っているようです。

現に、日本でも一部の取り扱い店にしかお目に掛かる事が出来なくなってきました・・・。


ビールスタイル:ドルトムンダーとは

ドルトムンダーというビールスタイルは、日本人にとっては余り聴き慣れないタイプのビールではないでしょうか。

しかし実は、日本のビール会社が『ラガービール』として販売しているビールは、ドルトムンダーをお手本にしているのです。

その為、初めて飲む人でも抵抗感無く美味しく感じられるビールとなっています。

特徴としては、ピルスナーよりブロンズ色が強く、きめ細かな泡立ちとピリッとした辛口のドライ感が堪能できる、まさに飲み応えのあるスタイルとなっています。

ドルトムントでも、ビールの醸造歴史において長く上面発酵(エール)ビールを造り続けていましたが、1843年にこの地域で一番古い醸造所「ドルトムンダー・クローネン」によって、下面発酵(ラガー)ビールが造られました。

その後ユニオンに引き継がれ、名実共に認められるラガービールが開発され、ドイツ全土へと広がって行ったのです。

ボックビール

ドイツで最も高いエキス濃度とアルコール度数を誇るのが、このボックビールです。
因みに、アルコール度数は6%~7%以上。エキス濃度が16度~18度以上です。

名前の由来は諸説あるようですが、地名からそう呼ばれるようになったというのが一つの説です。

ボックビールは、ドイツ北部ニーダ・ザクセン州にあるアインベックが発祥の地であり、この地で醸造されたビールを略して「ベックビール」と呼んでいたようです。
その後ドイツ南部に広がり、バイエルン地方の訛りと相まって、「ボックビール」となったのが一般的な解釈です。

因みに、ボックとはドイツ語で「山羊」を意味し、ラベルにも描かれています。
これは、山羊座にあたる月に仕込まれていた『季節ビール』だった、という意味もあるようです。

また、この頃(醸造初期)醸造されていたボックビールは、小麦を使った上面発酵(エール)ビールが主流でした。
しかし、ドイツ南部への広がりと技術革新により、ボックビールは大麦を原料とした下面発酵で造られるようになり、「ドイツのラガービール=ボックビール」と認識されるようになりました。


ドイツビール:ボックビール

そもそも何故アインベックでは、そんなにもエキス濃度が高いストロングビールを醸造していたのでしょうか。
その理由は、「全国に流通させる為」です。

アインベックでは、その当時修道院や宮廷でのみ許されていたビール醸造を、市民にもその権利を与え、そこへ課税を行い歳入を得ようと考えたのです。

まさにこの『特区』により、アインベックは世界初の商業醸造都市となったのです。

そうなると、必然と商売は外へ向く訳ですから、ドイツ全土へビールを配給する事となります。

その為、長時間の運搬でも品質を落とさないよう、濃度の高いビールを醸造する必要がありました。
それが、ボックビール誕生の理由です。


| ボックビールの世界


◆ ホーフブロイハウスのメイボック

ドイツで最も有名な醸造所である『ホフブロイハウス』。その創業は、なんと1602年。
元々は、バイエルン王室が運営を行っていたビアホールが併設された醸造所で、今現在はバイエルン州で管理運営が行われています。

ホフブロイハウスでは、多くのボックビールが造られてきました。
中でも有名なのが、『メイボック(マイボック)』です。

ホフブロイハウスで醸造されるボックビールで、一番重要な『季節』が5月。
そして、毎年メーデーにはその年のメイボック(マイボック)が盛大にお披露目されます。

メイボック(マイボック)の特徴は、何と言っても色!
琥珀色を更に深くしたような赤褐色。淡色系が多いボックの中では珍しいと言えます。

また、麦芽の香りとアロマ香がバランス良くブレンドされ、7%以上のアルコール度数から生み出される「苦み」と「ドライ感」は、コクのある味わいに更にインパクトを与えています。


◆ ダブルボック(ドッペルボック)

ドイツのストロングビールと呼ばれるボックビール。そんなボックを更に「ストロング」にしたのが、『ダブルボック(ドッペルボック)』です。

ダブルという事で、ボックの2倍強烈になったのか?と解釈されそうですが、ただ単にボックビールより「強い」という意味合いだそうです。

さて、このダブルボック(ドッペルボック)。実は、ある修道士によって生み出されたビールでした。
それが、パラウナー修道院のセント・フランシスコ修道士です。

フランシスコ修道士は、復活祭(イースター)の準備期間である「四旬節(40日間)」に耐えられるビール醸造に着手し、濃度の高いボックビールを完成させました。
それが、ダブルボックの元祖と言われる『サルバドール/salvator(救世主)』です。

アルコール度数は7.5%以上。エキス濃度も18%以上と非常に強め。明るめの琥珀色をしたビールで、コクと苦みが際立ったドライ感が特徴的です。

また、このビールの名は彼が運営するパラウナー・サルバドール醸造所から名付けられています。
醸造開始は、なんと1634年。また、冷蔵施設を一早く取り入れた革新的な醸造所でもありました。

因みに、この醸造所で確立したダブルボックのスタイルは、他の醸造所で造られる場合、敬意を持って語尾に「ator(ァトール)」が付けられます。

*ホフブロイハウスで提供されているダブルボックは、『デリカトール』。シュパーテン醸造所では、『オプティマトール』というダブルボックを醸造しています。


◆ アイスボック

ドイツ中南部に位置するフランケン地方にあるクルムバッハという町では、最も高濃度のボックビールが造られています。
それが『アイスボック』です。

このボックビールが誕生したのは、非常に偶発的な要因が理由です。
ある寒い冬の夜、ビール樽を外に出しっぱなしで忘れてしまい、ビールが凍結してしまったのがアイスボック誕生の経緯です。

ご存じの様に、アルコールは水よりも氷点が低いので、先に水分が凍ってしまい濃度の高いアルコール分だけが残ります。
これが、アルコール度数の高い濃厚なビールを生み出す仕組みです。

今現在では、水分だけを凍らせて取り除く作業を約2週間の間、何回も繰り返して行われています。

ラオホビール

バイエルン州のフランコニア地方にあるバンベルグ。

赤い屋根と石畳、そしてバロック様式の美しい街並みは、観光地としても有名な街です。
*旧市街地は、ユネスコの世界文化遺産に指定されています。


ドイツビール:バンベルグ

そんなバンベルグで生まれたのが、『ラオホビール(バンベルガー・ラオホビール)』。
英語でスモークドビアと言われるこのビールは、通常、麦芽を焙燥する事により香りと色味をビールに付け加えますが、その麦芽をブナの木で燻して造られた『燻製麦芽』を用いて醸造されたのが、この下面発酵ビール(ラガービール)です。

その為、非常にスモーキーで独特な香ばしさと、濃いブラウン系の色味が特徴的です。


ラオホビールはブナの木で燻製される

その歴史も非常に古く、16世紀頃にはラオホビールは造られていました。
では、その起源はと言うと、意外に偶発的な出来事から生まれたようです。

当時は、ビール醸造は修道院が行っていました。
また、バンベルグの修道院では制麦所も併設されている所が多かったようで、そのとある修道院で火事が起こり、貯蔵していた大麦が火事の煙によって燻されてしまいました。

本来なら、これらの大麦は破棄されるのでしょうが、バンベルグの人は『節約主義(ケチ?)』が多い土地柄のようで、そんな大麦でも「勿体ない!」と言う事で、ビール醸造に使ったようなのです。

それが、今現在まで受け継がれているラオホビールの原点だと言われています。

そんなラオホビールで最も有名なのが、『シュレンケルラ・ラオホビール』。
ヘラー醸造所(1678年創業)が、同名のパブ「シュレンケルラ」の為に造ったビールでもあります。


シュレンケルラ・ラオホビール・メルツェン

ここで醸造されているメルツェンタイプのラオホビールは、濃い琥珀色をした非常にスモーク感が強調されたビールとなっています。
また、苦みと甘味がハッキリと感じられ、ボディの効いた独特な味わいが特徴的です。

更に、12月頃に醸造されるボックタイプの『シュレンケルラ・ウルボック』は、更に香ばしさとボディ感が強調された、後味をじっくり堪能出来る「通好み」のラオホとなっています。

因みに、管理人が個人的にガツンっとやられたのが、『シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン』です。

ラオホのスモーキーさとヴァイツェンの柑橘系の香りと甘さが、絶妙な塩梅でブレンドされた逸品であります。
是非、ご賞味あれ!

ヴァイツェン(小麦ビール)

バイエル地方の上面発酵ビール(エールビール)と言えば、このヴァイツェンです。
地元では『ヴァイス(白)・ビア』の相性で親しまれていますが、普段我々が親しんで飲んでいるビールとはまったくの別物です。

人によっては、好き嫌いがはっきり分かれるのではないでしょうか。

その理由は、柑橘系の香りと酸味、そして甘さにあります。
また、ビール特有の苦みは余り感じられません。

そして、濁りのある見た目。淡色系のビールとは味も香りも見た目も別物だからです。

更に、使われている原料から違います。
通常のビールは、大麦が主原料となりますが、このヴァイツェンは主原料の半分は「小麦」で造られています。


ヴァイツェン/小麦ビール

この小麦のたんぱく質により、濁りと酸味が生み出されます。
また、ヴァイツェン特有のバナナの様な香りは、酵母の働きによるものです。

ヴァイツェンにとって酵母の選択は要であり、そのビールの特徴を決める大事な原料となるからです。

因みに、バイエルンの人々とって濁っていない(生きた酵母が入っていない)ヴァイツェンは、「ヴァイツェンでは無い!」とされています。
その為、ビールのラベルには『Hefe(ヘーフェ)=酵母』と記載されている事が多いです。


世界最古のビール醸造所

ミュンヘンの北東に位置するフライジングという町には、世界最古の醸造所があります。
それが、『Weihenstephan(ヴァイエンシュテファン)』です。

名前の由来は、醸造所のある丘陵地帯から来ているとされていますが、元々は725年に、ベネディクト会の修道士「聖コルビニアン」によって設立された修道院です。

そして、768年にはホップの栽培を始め、1040年頃にはビール醸造を行い巡礼者に振舞われたと文献にも記載されています。
この列記とした証拠により、『世界最古の醸造所』と認知されているようです。

実は、このヴァイエンシュテファン。ミュンヘン工科大学の醸造学科が併設されている事でも有名な醸造所であり、醸造研究の専門分野の中でも非常に権威のある機関とされています。
*『世界の酵母バンク』とも呼ばれているようです。

そんなヴァイエンシュテファン醸造所の代表的なビールと言えば、豊富な柑橘系の甘い香りとスパイシーな味わいが特徴の『ヴァイエンシュテファナー・ヘーフェ・ヴァイスビア』です。


ヴァイエンステファン ヘフヴァイス

このヴァイツェンの特徴は、何と言ってもその飲み易さにあります。
ホップの苦みが抑えられ、フルーティーな味わいが強調された味わいは、ビールが苦手な方にも楽しんで飲んで頂けます。

ベルリーナ・ヴァイセ

「北のシャンパン」、「ビールのシャンパン」と呼ばれているのが、このベルリーナ・ヴァイセです。

ドイツ北部、ベルリンを中心とした地域で飲まれている小麦ビールで、アルコール度数(約3%ほど)が低く、非常に爽やかな味わいが特徴的です。


ベルリーナ・ヴァイセ:ベルリン

まさしく「水の代わりにビール」ではなく、「ジュースの代わりにベルリーナ・ヴァイセを!」といった独特なビールです。
その為、ビールと認識して初めて飲むと「不味い!」と思わず言ってしまう程・・・。

しかし、そもそもベルリーナ・ヴァイセは、そう言ったジュースの様なビールなのです。


そのベルリーナ・ヴァイセの特徴とは?

『ヴァイセ=白』。いわゆる白ビールと呼ばれるスタイルですが、実際のベルリーナ・ヴァイセは、どちらかと言うと「何となく白っぽい」と言った感じの色あいです。

しかし、このビールの個性が解るのは、その見た目にあります。
脚付の独特なグラス(広口のボール型のグラス)に注がれ、何とストローが付いてくるのです!

更に、その色にも特徴があります。
通常のヴァイセの他、緑やピンクといった、一見ビールでは考えられない色が付いているのです。

これは、ベルリーナ・ヴァイセ特有の「香味付け」にあります。
ラズベリーシロップなどの甘味料や、クルマバ草のエキスなどが加味され、あのカクテルの様な色合いとなります。

さて、このベルリーナ・ヴァイセ。その歴史は意外と古く、16世紀頃まで遡ります。
そして、主原料である小麦の割合は、ミュンヘンのヴァイツェンよりも多い60%程が使われ、あの爽やかな柑橘系の香りは更に強調されています。

また、そんな風味にプラスされているのが『酸味』です。

ベルリーナ・ヴァイセの最大の特徴でもあるこの酸味は、通常のビールの醸造では考えられない『乳酸菌』が使われています。

この乳酸菌と共生している上面発酵酵母を用いて熟成させる事により、ベルリーナ・ヴァイセのスタイルとも言える『酸味』が生み出されるのです。

ケルシュ

ドイツ4番目の大都市『ケルン』。ドイツの西部に位置するノルトライン=ヴェストファーレン州にあり、ライン川両岸に広がる重工業都市。

そして、カトリック教会のケルン大司教の拠点でもある『ケルン大聖堂』は、世界的にも有名です。


ケルン大聖堂

そんなケルンには、小規模なマイクロブルワリーが数多く点在し、地方特有の淡色系の上面発酵ビール『ケルシュ』が醸造され愛飲されています。

実は、この「ケルシュ」という名称。国際法的(ケルシュ協定)にも保護されたスタイルで、ケルン市内の醸造所で造られたビールにしか名乗る事が許されていません。
その為、他の地域や国で醸造されているケルシュは、『ケルシュ風』というスタイルに分類されます。

また、この規定には注がれるグラスにもルールが適用されています。
ケルシュを飲む時には、『シュタンゲ(Stange=棒)』という円柱形の細長いグラスに注がれなければなりません。


ケルシュのグラス『シュタンゲ』

ケルシュの特徴とは

ピルスナーの様な淡い黄金色。アルコール度数は約5%程で非常に繊細で飲み易い上面発酵ビール(エールビール)です。

上面発酵酵母で醸造されているビールですが、10℃以下(下面発酵酵母の熟成温度)の冷たい条件下で熟成されており、エールビールの芳香でフルーティーな香りと、ラガービールの爽やかな苦みとキレが融合した味わいが特徴です。
因みに、使用されている地元の水『オウ・デ・コロン(ケルンの水)』は、非常に柔らかくビールの苦みと香りを更に引き立てる役目を担っています。

ケルン市内では24の認可された醸造所がありますが、その中には主原料の20%ほどを小麦麦芽で醸造されたビールもあり、ワインの様な果実風味豊な香りと、モクモクとしたクリーミーな泡立ちを楽しむ事が出来ます。

また、苦みを効かせたものやソフトな味わいを特徴としたもの。更に、無濾過のヴィスというケルシュなど、それぞれ醸造所によって違った個性を持ったケルシュを造っていますが、共通する点としては、その提供方法にあります。

ケルシュのグラス『シュタンゲ』をクランツで運ぶ

『クランツ=花冠』と呼ばれる円形のお盆にケルシュは運ばれ、グラスが空になると新しいケルシュが自動的に置かれます。
要するに「わんこ蕎麦」の様なシステムです。

飲んだ数はコースターにチェックされ、これが伝票替わりとなります。また、「もう打ち止め!」と思ったら、グラスの上にコースターを乗せれば終了です。

アルトビール

アルトとは『古い・昔から』を意味し、バイエルンで淡色系の下面発酵ビールが誕生する遥か前より、伝統的な醸造方法で造られているエールビールです。
*因みに、バイエルンでラガーが誕生した頃、下面発酵ビールは『ノイ・ビール(=新しいビール)』と呼ばれていたそうです。

アルトを固有名詞として用いている場合は、ドイツ北部のデュッセルドルフ周辺で造られている上面発酵ビールを指します。


アルトビール:デュッセルドルフ

当時の焙燥技術では、淡色系の麦芽を造り出す事が出来なかったので、アルトビールの殆どは赤銅色の色合いをしていました。
そして、今現在ではアルトビールと言えばその赤味掛かった「琥珀色」が代名詞でもあります。

良質と言われるアルトビールは、エキス濃度が約12度ほど。アルコール度数は4.7%ほどで、アロマの添加方法によりほど良い苦みと微かに感じられる果実香が特徴的です。

また、イギリスやベルギーなどのエールビールとは印象が違い、低温熟成で醸造された滑らかで済んだ味わいは、まさに『ドイツ風のエールビール』と言えるでしょう。

デュッセルドルフにある旧市街(アルトシュタット)と言えば、今や高級ショッピング街でも知られ、多くの飲食店も連なる一大エリアでもあります。

そんな旧市街には、古くからアルトビールを醸造するブルーパブ(醸造所兼居酒屋)が4軒(2010年に新たに1軒加わりました)存在します。

icon_check フォルディナンド・シューマッハ

icon_check ツム・シュルッセル

icon_check フェックスヒュン

icon_check ツム・ユーリゲ

icon_check クルツァー

どの醸造所も、旧市街の雰囲気に溶け込むお洒落な佇まいが特徴的です。

また、それぞれ独自のアルトビールを醸造しており、麦芽風味を強調したアルトや、酸味を少し感じさせる麦芽香を特徴としたアルトなど、オリジナルティに溢れた新鮮なビールを提供しています。

中でも人気なのが、ツム・ユーリゲ醸造所が手掛けるアルト。最も苦みがあり酸味と甘みのバランスが絶妙で、飲み応えのあるアルトビールとなっています。
*ツム・ユーリゲのアルトビールは、日本でも購入する事が出来ます。


ツム・ユーリゲ アルトビール

黒ビール.comがお勧めする「ドイツビール」一覧

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シュレンケルラ ラオホビア デュンケル/Schlenkerla Rauchbier Dunkel

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エルディンガー ヴァイスビア ドゥンケル/Erdinger Weissbier Dunkel

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アベンティヌス アイスボック/Aventinus Eisbock

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凍らせて濃度を上げていき、ワインのような香りと味わいを持ったシュナイダー社のアベンティヌス アイスボック・・・

ヴァラーシュタイナー ランツクネヒト/Wallersteiner Landsknecht

ヴァラーシュタイナー ランツクネヒト/Wallersteiner Landsknecht
苦味の少ない円やかな味わいが特長のダークラガービール。口当たりも良く、苦味が抑えられた日本人好みの味に仕上がっています・・・

シュパーテン・オプティメーター/Spaten Optimator

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ラガーを生み出したシュパーテンの黒ビール。ドッペルボックの濃くと甘さが際立つフルボディーのドイツビール・・・

モンヒスホーフ・シュヴァルツビール/Monchshof SchwarzBier

モンヒスホーフ・シュヴァルツビール/Monchshof SchwarzBier
黒ビールと言えばこのラガービール。しっかりとしたコクとフルーティーな甘さが際立つ黒ビール。非常に後味のスッキリとした飲み易いビールとなっています・・・

エヒト シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン/Aecht Schlenkerla Rauchbier Weizen

エヒト シュレンケルラ ラオホビア ヴァイツェン/Aecht Schlenkerla Rauchbier Weizen
ラオホビール(英語でスモークドビア)は、名前の通り麦芽をスモーク(燻す)することにより、芳ばしい香りをビールに付け加えたドイツビール・・・

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そんな疑問にお答えします

ラガービールの誕生
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ランビック(自然発酵)
ランビック(自然発酵)は自然の酵母で出来たドイツビールならではの変わったビールです

ビールに使われる麦とは
ビールに使われる麦芽(モルト)は、どんな麦で焙燥されるのでしょうか

なぜ麦芽でビールを造るのか
なぜ麦芽(モルト)にしてからビールを造るのか
ベースモルトは基本
ビールにとって麦芽(モルト)は主原料であり、ビールの土台を担うのがこのベースモルト

ビールの色を決めるモルト
ビールの色を決めるモルト(麦芽)。ビールに様々見られる色合いは一体どのように創られるのか

ビールのために生まれて きたような植物
ホップの役割とは?ホップの働きには一体どのようなものがあるのか。苦味や香り、そして泡

泡持ちの良さ
ホップの役割として大切なのが泡を創るということ。ビールにとって欠かせない泡はどのように出来るのか

大事な香り付け
ホップの役割で大切なものに香りがあります。ビール独特なあの香りはどのように造られるのか

ビールの決め手!それは苦味
ビールにとって大切な味。それは苦味。その苦味はホップによって造り出されます

酵母の種類
アルコール発酵を促す酵母は幾つかあります。ワイン酵母、清酒酵母、ウィスキー酵母など・・・

酵母の働き
ビール酵母は、ビール造りにだけ使われているわけではありません


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